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研究活動

ケニアにおけるいもち病菌レースとイネ品種の多様性解析による防除技術の開発
(日本学術振興会二国間交流事業「ケニアとの共同研究」:2013〜2014年度)

ケニア最大の灌漑水田地区であるムエア(標高約1135m)では、2007年にイネ品種Basmati370にいもち病が多発し、コメ生産が半減するなど大きな問題となりました。私たちは、ケニアにおけるいもち病の発生状況に関する現地調査を行い、2012年には、インド洋沿岸のタナデルタ県(標高約40m)にある大規模灌漑田においても、イネ品種ITA310 にいもち病が激発していることを確認しました。さらに、西部のビクトリア湖沿岸(標高約1150m)の灌漑水田地帯においても、いもち病害を確認しました。いもち病害が問題となっているこれらの地域では、共通して単一品種の大規模連続栽培が行われています。単一品種の大規模連続栽培が行われると、その品種を侵害できるいもち病菌レースが出現・増殖し、いもち病抵抗性の崩壊が起こると考えられています。

ケニアの現地で、いもち病防除技術の開発を進めるためには、いもち病菌菌系の病原性やイネ品種の抵抗性遺伝子型を同定することのできる判別システムを構築する必要があります。それにはまず栽培体系・地域に対応した栽培品種や栽培方法を把握し、各地域におけるいもち病菌の優占レースや多様性程度を把握することが重要です。これによって優占いもち病菌レースに対応した異なる抵抗性遺伝子型を持つイネ品種の選定や導入が可能となります。

本研究では、農学国際協力研究センター、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)、農業生物資源研究所およびケニア国家灌漑公社の研究者が共同で、現地フィールド調査、いもち病菌の接種試験、いもち病菌とイネ品種の遺伝子解析、現地栽培試験を行い、(1)ケニア各地の栽培イネ品種と栽培形態の把握、(2)ケニアのイネ品種のいもち病抵抗性遺伝子型の同定、(3)いもち病菌レースの多様性の解明、(4)現地栽培イネ品種へのいもち病圃場抵抗性QTL導入効果の検証に取り組んでいます。

穂(左:中央州ムエア)
葉身(右:ニャンザ州ウエストカノ)

いもち病に感染した水稲品種Basmati 370の穂(左:中央州ムエア)および葉身(右:ニャンザ州ウエストカノ)