Home > 研究活動 > ケニア国「テーラーメード育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェクト」

研究活動

ケニア国「テーラーメード育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェクト」
(地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS):2012〜2017年度)

干ばつ害を受けた陸稲ネリカ (左:西部州アルーペ)
冷害を受けた陸稲ネリカの穂 (右:中央州ムエア)

干ばつ害を受けた陸稲ネリカ (左:西部州アルーペ)および冷害を受けた陸稲ネリカの穂 (右:中央州ムエア)

アフリカ大陸東岸、赤道直下に位置するケニアの稲作は、旱ばつ、高地で起こる冷害、インド洋岸の水田における塩害、土壌の低肥沃度、イネいもち病、イネ黄斑病などの生物的・非生物的ストレスによって阻害されています。ケニアにおける稲作の生産性向上と生産安定化を実現するためには、これらの生産性阻害要因を克服する品種の育成、肥培管理や作付体系を含む現地に適した栽培技術の開発、品種や栽培技術を農家に効果的に普及するための戦略が必要であり、これを実施するための人材育成が重要です。

名古屋大学の農学国際教育協力研究センター、大学院生命農学研究科および生物機能開発利用研究センタ−を中心とし、山形大学、岡山大学、島根大学および京都大学の研究者を加えた私たちの研究グループでは、愛知県農業総合試験場の協力も得て、これまで、DNAマーカー選抜などの技術を利用し、耐旱性、耐冷性、いもち病抵抗性、多収性、低肥沃土適応性などに関連するQTL(quantitative trait locus)を導入した系統を交配・選抜してきました。また、ケニアで耐旱性、耐冷性およびいもち病抵抗性を評価するための評価手法の開発を進めてきました。しかし、ストレス耐性や生産性は、品種のもつ遺伝的要因だけで決まるわけではなく、栽培環境と栽培管理による影響を受けて変化します。

そこで私たちは、日本における人工環境下での栽培試験とケニアにおける現地栽培試験によるG(遺伝子型)×E(環境条件)×M(栽培管理)の相互作用の解析を通して、ケニアの栽培環境下で機能するQTLの特定および導入したQTLの機能が有効に働くための条件の解明に取り組んでいます。その上で、現地のストレス条件に応じた品種開発を進めるとともに、イネ品種の能力を十分に発現させる栽培技術を開発し、ケニアの稲作の生産性向上と生産安定化を実現することが目標です。本研究は、ケニア国立農業研究所(KARI: Kenya Agricultural Research Institute)との国際共同研究として実施しており、国際共同研究を通じた日本およびケニアの若手研究者の育成にも力を入れています。